幸福度を高める3つの要素

健康・人間関係・自己決定

「幸せに生きるために大切なものは何でしょうか?」

もちろん、幸福の感じ方は人それぞれです。

しかし、日本人約2万人を対象に、幸福感に影響する要因を調べた研究があります。

経済産業研究所(RIETI)の西村和雄氏と同志社大学の八木匡氏による研究では、所得、学歴、健康、人間関係、自己決定などと幸福感との関係が分析されました。

その結果、幸福感との関連が大きかったのは、

1.健康
2.人間関係
3.自己決定

という順でした。

特に興味深いのは、自己決定が所得や学歴よりも強く幸福感に関連していたことです。

では、この3つにはどんな意味があるのでしょうか。

① 健康――人生を楽しむための土台

健康だからこそ、好きなことをしたり、好きな人に会ったり、行きたい場所へ出かけたりすることができます。

健康そのものが幸福というわけではありません。

しかし、健康であることによって、自分の人生を自由に選択できる範囲が広がります。

だから健康は、幸福を支える「土台」と考えることができます。

② 人間関係――安心できる人とのつながり

人は誰かとのつながりの中で生きています。

ただし、重要なのは人間関係の「数」ではありません。

たくさんの人と付き合っていても、気を遣ってばかりでは疲れてしまいます。

それよりも、

「この人といると自然体でいられる」

「この人には安心して話せる」

そんな人がいることが大切なのではないでしょうか。

研究でも、人間関係は幸福感と強く関連する要因の一つとして示されています。

③ 自己決定――自分の人生を生きている感覚

そして、今回の研究で特に注目したいのが「自己決定」です。

自己決定とは、簡単に言えば、

「自分の人生について、自分で選んでいる」という感覚

です。

同じことをしていても、

「仕方なくやっている」

と感じるのと、

「自分が選んでやっている」

と感じるのでは、満足感は違ってきます。

研究では、自己決定度の高い人ほど幸福感が高く、自己決定は所得や学歴よりも幸福感への影響が強いことが示されています。

自分で人生を選択することが、選んだ行動への動機や満足度を高め、それが幸福感につながる可能性があると考えられています。

「自分の人生のハンドルを握っている」という感覚

心理学の「自己決定理論」でも、人間のウェルビーイングに関係する基本的な心理的欲求として、

自律性(自分で選ぶ)
有能感(自分にはできる)
関係性(人とつながる)

の3つが挙げられています。これらの欲求が満たされることは、ウェルビーイングや精神的な健康と関連するとされています。

つまり、「自分で選んでいること」と「人とのつながり」は、幸福を考えるうえで心理学的にも重要なテーマなのです。

幸福は「何を持っているか」だけではない

私たちは、ときどき、

「もっとお金があれば幸せになれる」

「もっと良いものを持てば幸せになれる」

と考えてしまいます。

もちろん経済的な安心も大切です。

しかし、日本人2万人を対象にした研究では、所得や学歴だけでは幸福感を十分に説明できず、健康、人間関係、そして自己決定が重要な要素として示されています。

そう考えると、幸福とは単に「何を持っているか」ではなく、

「自分の人生を、自分の意思で生きていると感じられるか」

ということも、大きく関係しているのかもしれません。

健康を大切にする。

大切な人との関係を大切にする。

そして、自分の人生について自分で選択する。

この3つを意識することは、特別なことをしなくても、日々の幸福感を考えるきっかけになるのではないでしょうか。

幸せは、遠くにある特別なものではなく、毎日の選択の中にある。

そんなふうにも考えられるのではないでしょうか。

※本稿は研究結果をもとに幸福について考察したものであり、健康・人間関係・自己決定が幸福の「唯一の3要素」であることを示すものではありません。

【参考】
西村和雄・八木匡「幸福感と自己決定―日本における実証研究」経済産業研究所(RIETI)Discussion Paper 18-J-026。日本人2万人を対象とした調査研究。

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