日本人は健康診断で最も気にする数値の一つが「血圧」です。
確かに高血圧は、脳卒中や心臓病の大きな危険因子であり、適切に管理することはとても重要です。
一方で、高齢になるともう一つ見落とされがちな問題があります。それが**「タンパク質不足」**です。
昔の日本では脳出血が非常に多く、「血圧を下げること」が健康づくりの中心になりました。その結果、「肉は体に悪い」「塩分を減らすために肉も控えよう」という考えが広く浸透しました。
しかし現在では、高齢者では**低栄養や筋力低下(サルコペニア)**が大きな問題となっています。
筋肉だけではありません。
血管や皮膚、骨、免疫細胞、ホルモンなど、体のほとんどはタンパク質から作られています。
また、気分を安定させる神経伝達物質「セロトニン」は、必須アミノ酸であるトリプトファンから作られます。トリプトファンは肉・魚・卵・乳製品・大豆製品などのタンパク質に多く含まれています。
つまり、
血圧を管理することと、十分なタンパク質を摂ることは、どちらも健康寿命を延ばすために欠かせない両輪なのです。
もちろん、「肉だけ食べればよい」というわけではありません。
魚や卵、大豆製品なども組み合わせながら、自分の胃腸に合った形で無理なくタンパク質を摂ることが大切です。
高齢になるほど、「何を減らすか」よりも、「何をしっかり食べるか」という視点が重要になります。
健康とは、数字だけを追いかけることではなく、体をつくる材料を毎日きちんと補給することでもあるのです。

