「できるだけ長く、頭も身体も元気でいたい」
これは、年齢を重ねるほど多くの人が願うことではないでしょうか。
認知症予防については、これまでさまざまな研究が行われてきました。
その中でも世界的に注目されているのが、フィンランドで行われた「FINGER研究」です。
FINGER研究では、高齢者を対象に、
・食事・栄養の改善
・運動習慣
・認知トレーニング
・社会活動
・血圧や血糖、コレステロールなどの血管リスク管理
という複数の領域を組み合わせた「マルチドメイン介入」を行いました。
その結果、こうした生活習慣を総合的に改善することで、認知機能の低下を抑える効果が確認されました。
つまり、認知症予防は「これさえやれば大丈夫」という一つの方法ではなく、毎日の生活全体を整えていくことが大切なのです。
なかでも「運動」は脳にとって重要
5つの取り組みの中でも、私が特に注目したいのが「運動」です。
運動すると、脳ではBDNF(脳由来神経栄養因子)など、神経細胞の成長や働きを支える物質が増えることが知られています。
BDNFは、いわば脳にとっての「肥料」のような存在。
神経細胞同士のつながりを支えたり、学習や記憶に関わる脳の働きを助けたりします。
また、運動は血糖・血圧・脂質などの代謝や血管の健康にも良い影響を与えます。
脳は全身の中でも特に血流に依存している臓器です。
だからこそ、
「身体を動かすことは、脳を動かすことでもある」
と考えることができます。
「糖」と運動の関係
もちろん、糖質そのものが「毒」というわけではありません。
脳にとってブドウ糖は重要なエネルギー源です。
問題になるのは、糖質やエネルギーの摂り過ぎ、運動不足などが重なり、血糖値やインスリンの調節が乱れてしまうこと。
糖尿病や高血圧などの生活習慣病は、認知機能低下や認知症のリスクとも関連しています。
だからこそ、
「食べ過ぎない」
そして、
「食べたら動く」
というシンプルな習慣が大切になります。
ふくらはぎを動かす「歩く」という習慣
ここでおすすめしたいのがウォーキングです。
歩くことは特別な道具も必要なく、日常生活に取り入れやすい運動です。
ふくらはぎの筋肉を使いながら全身を動かすことで、エネルギー消費を促し、血流や代謝の改善にもつながります。
特に、
「少し息が弾むくらいの速さで歩く」
ことを意識すると、単なる移動ではなく、運動としての効果を得やすくなります。
目安としては、健康状態に問題がなければ、週150分程度の中強度の有酸素運動が一つの基準になります。
ただし、最初から30分を毎日やろうとする必要はありません。
10分歩く。
階段を使う。
仕事の合間に少し身体を動かす。
こうした小さな活動を積み重ねてもいいのです。
「脳のために運動する」という発想
運動というと、
「筋肉をつけるため」
「体重を減らすため」
「体力をつけるため」
というイメージが強いかもしれません。
でも、運動にはもう一つ大切な目的があります。
それは、
「未来の脳を守ること」
です。
そして脳を守るためには、運動だけでなく、
・バランスの良い食事
・適度な運動
・頭を使うこと
・人と交流すること
・血圧や血糖などを管理すること
を一緒に考えることが重要です。
FINGER研究が教えてくれるのは、「特別な認知症予防法」ではなく、むしろ毎日の生活そのものを整えることの大切さなのかもしれません。
認知症を完全に防ぐ方法は、現在のところありません。
遺伝的な要因など、自分では変えられないものもあります。
だからこそ、
「将来どうなるか」を必要以上に恐れるのではなく、
「今の自分にできることを、少しずつ積み重ねる」
ことが大切です。
今日10分多く歩く。
階段を一段多く使う。
食べ過ぎない。
人と話す。
新しいことを覚える。
そして、よく眠る。
そんな何気ない一日の積み重ねが、何年後かの身体と脳をつくっていきます。
「健康寿命を延ばす」ということは、特別なことをすることではありません。
今日という一日を、少しだけ身体と脳に優しく過ごす。
その積み重ねこそが、これからの人生を楽しむための大切な土台になるのではないでしょうか。
光整骨鍼灸院では、鍼灸・整体を通して、皆さまが日々の生活を元気に過ごすためのお手伝いをしています。


