自分を責める前に知っておきたい、人間の本能と健康の話
野生動物を観察していると、餌を探したり、狩りをしたりするとき以外は、じっと休んでいる姿をよく見かけます。
ライオンやトラなどの肉食動物は、狩りに必要なエネルギーを温存するため、長い時間を休息に費やします。
もちろん、動物の種類や環境によって生活スタイルは異なりますが、必要なときに活動し、それ以外の時間はエネルギーを温存することは、多くの動物にとって重要な生存戦略です。
では、人間はどうでしょうか。
運動したほうが健康に良いとわかっていても、なかなか続かない。
食べ過ぎないようにしようと思っても、つい食べてしまう。
疲れているときは、何もせずにゆっくりしたくなる。
そんな自分を「意志が弱い」「怠け者だから」と責めてしまうことはありませんか?
しかし、こうした行動を、すべて性格の問題として考える必要はありません。
■ 人間にもエネルギーを節約する仕組みがある
人類の祖先は、いつでも食べ物が手に入る環境で暮らしていたわけではありません。
食料が不足することもあれば、食べ物を得るために多くのエネルギーを使う必要もありました。
そのような環境では、必要のないエネルギー消費を避け、食料があるときには十分に食べておくことが、生き残るうえで有利に働いたと考えられます。
現代では、食べ物を簡単に手に入れられ、移動も便利になりました。
しかし、人間の身体や脳の基本的な仕組みが、現代の生活環境に完全に適応しているわけではありません。
そのため、身体を動かすより休みたいと感じたり、おいしいものを食べたいと思ったりすること自体は、決して不自然なことではないのです。
もちろん、運動習慣や食欲には、睡眠、ストレス、体調、生活環境など、さまざまな要因が関係しています。
すべてを本能だけで説明することはできませんが、人間の性質を理解することは、自分の行動を見直すうえで役立ちます。
■ 運動が続かないのは、意志が弱いから?
健康のために運動を始めても、いつの間にかやめてしまう。
そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。
運動による健康効果は、長い目で見て実感できるものが多い一方、疲労や時間の負担は、その場で感じます。
そのため、将来の健康よりも、目の前の休息を優先したくなることがあります。
また、仕事や家事で疲れていたり、運動する時間や環境が整っていなかったりする場合もあるでしょう。
だからこそ、運動が続かないことを、単純に意志の弱さだけで片づけるのは適切ではありません。
大切なのは、自分を責めることではなく、どうすれば無理なく続けられるかを考えることです。
例えば、最初から毎日30分の運動を目指すのではなく、5分から始めてみる。
頑張り過ぎず、疲れている日は軽めにする。
楽しめる運動を選び、生活の中に自然に取り入れる。
こうした工夫によって、運動を特別な努力ではなく、日常の習慣に近づけることができます。
■ 食べ過ぎてしまうのも、意志の問題だけではない
人間には、空腹を感じて食べ物を求める仕組みがあり、食事から満足感や快感を得る仕組みも備わっています。
食べ物が不足しやすい環境では、エネルギーを確保することが生存に直結していました。
ところが、現代では高カロリーの食べ物を簡単に入手できます。
お腹が空いていなくても、目の前においしそうなものがあれば食べたくなることもあります。
ストレスや退屈が食欲につながることもあるでしょう。
このように、食欲には本能的な仕組みだけでなく、心理状態や生活環境も関係しています。
食べ過ぎを防ぐために必要なのは、ただ我慢することだけではありません。
食事の内容や量を工夫すること、十分な睡眠を取ること、食べる環境を整えることなど、自分の意志だけに頼らない方法も大切です。
■ 自分を責めることと、自分を理解すること
ここで大切にしたいのは、自分を責めないことと、何もしなくてよいと考えることは違う、という点です。
運動したくないと感じるのは自然なことかもしれません。
だからといって、運動をまったくしなければ、筋力や体力が低下することがあります。
食べたい気持ちも自然なものですが、食べ過ぎが続けば、健康に影響する可能性があります。
つまり、自分の性質を理解することは、行動を変えなくてよいという意味ではありません。
自分を責めるのではなく、自分に合った方法で行動を変えていくための出発点なのです。
「なぜ自分はできないのだろう」と考える代わりに、「どうすれば無理なくできるだろう」と考えてみる。
この視点の違いが、日々の健康習慣を変えるきっかけになるかもしれません。
■ 頑張り過ぎず、何もしなさ過ぎず
健康のためには、身体を動かすことも、十分に休むことも必要です。
意欲がある日はしっかり活動する。
疲れている日は、無理をせず休息を取る。
食事は楽しみながら、身体に必要なものをバランスよく取り入れる。
いつも完璧を目指す必要はありません。
大切なのは、極端に頑張り過ぎず、かといって自分の健康を放置することもなく、無理のない範囲で続けていくことです。
それは、身体だけでなく、心の健康にも通じる考え方です。
不安になったとき、すべてを解決しようとしなくてもいい。
疲れたとき、いつも通りにできない自分を責めなくてもいい。
自分の状態を受け止めながら、必要なことを少しずつ行っていく。
そんな姿勢も、健康的な生活を支えてくれます。
■ 自分を理解することから始めよう
人間は、いつも合理的な行動を取れるわけではありません。
休みたい日もあれば、食べ過ぎてしまう日もあります。やる気が出ず、思うように行動できないこともあるでしょう。
そんな自分を、すぐに否定する必要はありません。
まずは、自分の身体や心の仕組みを理解すること。
そして、自分に合った方法で、少しずつ生活を整えていくこと。
頑張るときは頑張る。
疲れたら休む。
できない日があっても、また始めればいい。
自分を責めることから始めるのではなく、自分を理解することから始める。
無理をせず、かといって諦めることもなく、自分にとって心地よいバランスを見つけていく。
そんな「いい塩梅」の健康づくりを、日々の生活に取り入れてみませんか。
光整骨鍼灸院

